住宅を購入した方必見!住宅ローン控除の適用を受けるための流れを解説

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住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とはどのような制度なのでしょうか。まずは住宅ローン控除の概要を確認しておきましょう。

住宅ローン控除は住宅購入者の所得税を優遇する制度

住宅ローン控除とは住宅購入者のローンの金利負担を軽減するために所得税を優遇する制度です。「住宅ローン控除」は「住宅ローン減税」とも呼ばれていますが、今回は住宅ローン控除で統一します。

住宅ローン控除は借入金に対して最大1%(長期認定優良住宅の場合最大50万円)で13年の税額控除が適用できます。

最大で520万円の節税に繋がりますので、住宅を購入してローンの支払い負担がある家庭にとってすごくありがたい減税制度と言えるでしょう。
所得の減税には大きく分けて2つの方式があります。一つ目は「所得控除」です。所得控除は年間の所得から差し引くことができる制度です。
例えば年間所得500万円の人が10万円の所得控除を受けるとした場合490万円の所得に対して所得税が計算されます。
年間所得が500万円の人の税率は20%となりますので、10万円の所得控除を適用することで実際に支払う所得税は2万円少なくなります。
一方の税額控除は実際に支払う税金から差し引くことができます。つまり、10万円の税額控除は実際に支払う金額から10万円を節税できるということです。
そのため、「税額控除」は「所得控除」よりも効果が大きいのです。住宅ローン控除は「税額控除」ですので、非常に節税効果が大きい制度と言えるでしょう。

住宅ローン控除を適用する際の流れ① ~ 適用条件を確認する ~

住宅ローン控除を適用する際にはまず適用できるかどうかを確認しておく必要があります。
主な適用条件について確認しておきましょう。

(1) 購入する住宅の適用要件

購入する住宅にはどのような条件があるのでしょうか。確認しておきましょう。

  1. 新築または取得した日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける年の12月31日まで居住していること
  2. 住宅の床面積が50㎡以上であり、床面積の半分以上が自己の居住用であること
  3. 中古住宅の場合は以下のいずれかを満たしていること
    ・家屋が建築されてから20年(耐火建築物の場合25年)以下
    ・耐震基準適合証明書を取得
    ・住宅性能評価書で耐震等級1以上を取得
    ・既存住宅売買瑕疵担保責任保険特約が締結されている

参考(国税庁HP):No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁 (nta.go.jp)

(2) ローンの条件

住宅ローン控除の適用を受けるためには借り入れるローンにも条件があります。適用を受けるためには以下の条件を満たしておく必要がありますので、確認しておきましょう。

  • 居住用住宅とその敷地のための新築・取得・増改築のための借入であること
  • 返済期間が10年以上であること
  • 銀行・信用金庫等の金融機関や住宅金融支援機構、地方公共団体、各種共済、勤務先等からの借り入れであること(家族や友人からの借り入れは適用外)

参考(国税庁HP):No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等|国税庁 (nta.go.jp)

(3) その他の条件

購入する住宅の要件と借り入れるローン以外にも住宅ローン控除を受けるための条件があります。
条件を確認しておきましょう。

  1. 適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
  2. 併用ができない特例を適用していないこと
    (特定居住用財産の買い替え特例や3,000万円特別控除を居住した年とその前後2年間に利用している場合は適用不可)

住宅ローン控除を適用する際の流れ② 確定申告をする

住宅ローン控除を適用するためにはどのような手続きを行えばいいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

1)適用初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除を適用するためには確定申告が必要です。確定申告とは1年間の所得を申告するもので、確定申告をすることで各種控除によって払いすぎた税金が返ってくることがあります。
住宅ローン控除を初めて利用する際には確定申告を行わなければ適用することができませんので、覚えておきましょう。

確定申告は前年分の所得を3月15日までに提出する必要があります。
期限を過ぎると住宅ローン控除の適用を受ける事ができませんので、必ず期限に間に合わせるようにしましょう。

確定申告に必要な書類

確定申告には以下の書類が必要です。

  • 確定申告書と住宅借入金等特別控除額の計算明細書
    税務署で入手することができます。税務署のホームページからダウンロードすることも可能です。
  • マイナンバー記載書類
    マイナンバーカードや通知カード、マイナンバー入りの住民票など、マイナンバーが記載されている公的書類を用意しましょう。
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
    会社員などの給与所得者の場合、源泉徴収票が必要です。源泉徴収票は年末に会社から交付されます。
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書
    住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書は融資を受けている金融機関から送付されてきます。年末時点の融資残高が発送されてきますので必ず無くさないようにおいておきましょう。
  • 土地家屋の登記事項証明書
    登記事項証明書とは土地や家屋の所有者を示すものです。法務局で入手することができますので、住宅ローン控除の適用を受ける予定の土地家屋の登記事項証明書を入手しておきましょう。
  • 不動産売買契約書または工事請負契約者
    不動産を購入した場合は不動産売買契約書が必要です。新築で住宅を建築した場合は工事請負契約書を用意しましょう。

2)2年目以降は年末調整で適用可能

住宅ローン控除を適用するためには初年度は必ず確定申告を行う必要があります。
しかし、会社員の方であれば2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることが可能です。ただし、年収2,000万円以上の会社員の方や副業など、会社以外からの収入が20万円以上ある人は確定申告が必要ですので注意しましょう。
年末に必要な書類は以下の通りです。

  • 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
    確定申告を行うと税務署から10月頃送付されてくる書類です。
    残りの年数分の書類もまとめて送られてくるため、無くさないように保管しましょう。
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書
    確定申告と同様の書類です。金融機関から毎年年末時点の残高証明書が発送されますので、なくさないように保管しましょう。

住宅ローンを契約したらあわせて検討しておきたいポイント

住宅の購入と住宅ローン契約の締結はライフプランを設計する上での重要イベントです。住宅購入後はライフプランの設計にどのような影響があるのでしょうか。
住宅ローンを契約したらあわせて考えておきたいポイントを解説します。

(1) 生命保険の見直し

住宅ローンを契約したら必ず行いたいのが生命保険の見直しです。
住宅ローンの契約をすると、必ず団体信用生命保険(団信)に加入することになります。
団信は住宅ローンの債務者が万が一亡くなった場合に残りの残債が免責される生命保険。
例えば、3,000万円の残債がある方が亡くなった場合、残りの3,000万円を払わなくても良いと言うことになります。

団信には7大疾病や怪我や病気などで働けなくなった時の保障を特約でつけられるものもありますので、元々契約していた生命保険と保障内容が被らないように確認する必要があります。

もし、既存の生命保険と保障内容が重複するようであれば見直しを検討しましょう。一方で、住宅を購入することで、病気などでローンが払えなくなった時に備えて保障を厚くしておくことも検討する必要があります。
団信ではカバーできていないリスクについては新たな生命保険を検討してみてもよいでしょう。
生命保険は住宅に次ぐ人生で大きな出費であると言われています。無駄な保障はなるべく削り、本当に意味のある生命保険に絞ることで少ない保険料であらゆるリスクに備えることが可能です。

(2) 老後資金の貯蓄

住宅を購入する際は老後資金の貯蓄について考える絶好の機会です。
年金2,000万円問題が話題となってからは老後資金に対する備えが必要であると考える方も増えています。
老後資金はすぐに貯められるものではなく、現役時代から少しずつ貯めていく必要があります。
住宅の購入は多くの人にとって最大の出費となる住宅費用が確定するということです。
住宅費用が確定することで、長期で預けることでメリットが出る資産に預けやすくなります。老後資金を貯める際におすすめできる制度が個人型確定拠出年金(iDeCo)です。(勤務先が企業型確定拠出年金を導入している場合はiDeCoか企業型確定拠出年金のどちらかを選択できます。)iDeCoは掛金が全額所得控除になるという税制上のメリットがある制度ですが、原則60歳になるまでは現金化することができません。住宅を購入することで将来必要な出費額が計算しやすくなりますのでiDeCoの掛け金も設定しやすくなるでしょう。
住宅ローン控除で控除される税金を貯めるだけでも毎月数万円の掛け金を拠出することができます。住宅購入をきっかけに老後資金を貯め始めることで今後のライフプランに余裕が生まれてくるはずです。

住宅ローン契約時の注意点

住宅ローン控除を利用することで、金利負担を大幅に減らすことが可能です。住宅ローン控除が利用できることで、住宅購入を決断する方も多いでしょう。しかし、住宅ローンを契約する際は注意するべきことがあります。必ず確認しておくべき注意点を解説します。

(1) 変動金利で契約する場合は金利上昇に注意

変動金利で住宅ローンを契約する際は将来の金利上昇にも注意する必要があります。
契約時の金利では支払えても金利上昇によって払えないような金額のローンを借りてしまうと将来の生活に困窮する可能性があります。
変動金利で住宅ローンを借りる場合は金利上昇にも備えておく必要があります。

(2) ボーナス返済の金額に要注意

景気や売り上げによってボーナスが大きく変動する方はボーナス返済の金額はよく検討して決めておく必要があります。
調子が良い時には払えても景気が悪くなると払えないような金額に設定するとローンの支払いが滞る可能性もあります。ボーナスが減ってしまった場合のことも考えてボーナス返済の金額を決めるようにしましょう。

まとめ

住宅ローン控除は非常にメリットが大きい税制優遇制度です。住宅購入を検討している方はぜひ利用を検討してみてください。

住宅ローン控除を適用するためには条件を満たし、確定申告を行う必要があります。適用漏れが無いように、住宅ローン控除適用までの流れをよく確認しておくとよいでしょう。