アクティブファンドの見分け方と注目点

投資の勉強を進めると迷うのが積立、一括投資に用いる商品です。
商品には大別するとバランスファンド、そして株式ファンドや債券ファンド等の個別資産ファンドがあり、さらに個別資産ファンドにはインデックス・ファンドとアクティブ・ファンドがあります。

今回はインデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの違いとアクティブ・ファンドを選ぶのであればどこに注目すべきかのポイントを明らかにします。
なぜこのような議論になるかと言うと、ほとんどのアクティブ・ファンドがインデックス・ファンドを下回る成果しか挙げられていないからです。
そして最後にインデックス・ファンドとアクティブ・ファンドどちらで投資すべきかの指針を示します。

基本的なことから確認したい方は最初から通しで、知識のある方は3つ目のパートから読んでいただいても構いません。

インデックス・ファンドとは

【意味】

まずファンドの意味から確認します。
ファンドは直訳すると「基金」を意味し、基金は特定の目的のために準備された資金のことです。
金融業界でファンドというと、複数の投資家から集めた資金をプロの担当者が株式や債券 などで投資・運用する商品の総称を指します。プロの投資・運用担当者のことをファンド・マネージャーと呼びます。

続いて、インデックスとは「指数」を意味します。
日本の株式を例にとると、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などが代表的な株価指数で、複数の企業の株価を一定の計算式で平均化したものです。
世界金融の中心である米国の株価指数には、代表的なものにNY(ニューヨーク)ダウ、S&P(エスアンドピー)500、NASDAQ(ナスダック)の3つがあります。

【概要・考え方】

インデックス・ファンドの目的は、先に示した日経平均やS&P500等に連動する成果を挙げることです。なぜ指数に連動する成果を目指すかというと、指数を上回る成果を挙げるのは現実的に難しいと考えられているからです。
この考え方を「市場は効率的」と表現します。市場に追加的な投資機会は存在せず、株価に影響を与える情報は瞬時に織り込まれる=効率的です。
運用の姿勢が株価指数通りの連動を目指す受け身の姿勢ということで、パッシブ(受動的)ファンドとも呼ばれます。インデックス・ファンドの運用は指数に連動することを目指すため、株式市場全体が好調な時はプラスのリターンを獲得でき、不調の時はマイナスのリターンとなります。それがパッシブ(受動的)ファンドと呼ばれる所以です。

【特徴は低コスト】

「ファンド」の箇所で説明した通り、プロの担当者に投資・運用を任せるため、そのための手数料(コスト)がかかります。
投資・運用のコストは、主に①預かった資金の管理をするための人員にかかるコスト、②実際に運用業務に当たるファンド・マネージャーに対してかかるコスト、③経済環境を調べる人員(エコノミスト)、有望な資産・地域・業種を選定するための人員(ストラテジスト)、投資先企業を調べるための人員(証券アナリスト)にかかるコスト等、さまざまなコストがかかります。
先に説明した通りインデックスファンドはインデックスに連動することを目的としているため、主なコストの3つめである③経済環境を調べる人員(エコノミスト)、有望な資産・地域・業種を選定するための人員(ストラテジスト)、投資先企業を調べるための人員(証券アナリスト)にかかるコストが必要ありません。その分コストを抑制できることになります。

【問題点】

インデックス・ファンドの性質上、指数を構成する全銘柄を機械的に買い付けることになります(※1)。
この性質に問題点があります。
指数構成銘柄の中に不祥事を起こした企業や、既に社会的な存在価値が低下したゾンビ企業が含まれていたとしてもインデックス・ファンドの性質上購入せざるを得ません。指数を構成するウェイトはそう大きくないことがほとんどのため、リターンに過大な影響を及ぼすことはありません。
しかし資本市場の重要な役割である資金を効率的に配分し経済の新陳代謝を促す機能が低下してしまいます。

※1 インデックス・ファンドの運用方法には指数を構成する全銘柄を組み入れる完全法の他、全銘柄は購入しない層化抽出法、最適化法があります。

アクティブ・ファンドとは

【意味】

アクティブとはインデックス・ファンドの別名パッシブ・ファンドのパッシブの対義語に当たります。
アクティブの意味は能動的です。インデックス・ファンドが株価指数に連動するよう受動的に運用するのに対し、アクティブ・ファンドは指数を上回るよう能動的に運用する商品です。

【概要】

アクティブ・ファンドの目的は、前述した通りインデックス(株価指数)を上回る成果を挙げることです。それも確固となる投資方針を掲げてその投資方針に従って運用します。当然ながら大前提として、市場には株価指数を上回る超過収益を獲得できる投資機会が存在するという考え方があります。
それではどのようにインデックスを上回るか、手法は2つに大別されます。
1つはバリュー投資、もう1つはグロース投資です。それぞれにトップダウンアプローチとボトムアップアプローチがあります。特徴は次で説明します。

【特徴】

・バリュー投資
企業のファンダメンタルズ、例えば利益水準、資産価値、配当余力等に対して割安だと判断される銘柄に投資する手法です。利益水準に対する基準はPER(株価収益率)の低いもの、資産価値に対する基準はPBR(株価純資産倍率)の低いもの、配当利回りに対する基準は配当余力の高いものなどが代表的な選択基準になります。これらの基準で見て株価が割安におかれている企業が投資の対象です。

・グロース投資
グロース投資とは、企業の売上成長、利益成長に主眼をおいて投資する手法です。PERやPBRなどのファンダメンタルズ指標が割高であっても企業の成長性を重視し、将来の業績の伸びとともに株価の上昇が期待できる銘柄に投資する投資手法になります。売上や利益の成長性が相対的に高い銘柄を選別して投資する手法です。

・トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチはその名の通り、投資対象を個別企業からではなく、経済環境から選別していく手法です。景気変動や財政・金融政策、GDPや家計の動向などマクロ的な投資環境の分析・予測に基づいて、まず国・地域や業種などの資産配分を決定し、次に、各々の国・地域や業種内でより魅力的な銘柄を決定する運用手法です。

・ボトムアップアプローチ
ボトムアップとは下から積み上げていく手法です。個別企業の業績や財務内容などファンダメンタルズを調査・分析することにより株価の割安・割高の投資判断を下し、その積み上げによってポートフォリオを構築していく運用手法です。一般的にはトップダウン、ボトムアップどちらか一方ではなく、双方を組み合わせて投資を実行していきます。

・コスト(手数料)
インデックス・ファンドの箇所で説明した通り、主なコストの3つ①預かった資金の管理をするための人員にかかるコスト、②実際に運用業務に当たるファンド・マネージャーに対してかかるコスト、③経済環境を調べる人員(エコノミスト)、有望な資産・地域・業種を選定するための人員(ストラテジスト)、投資先企業を調べるための人員(証券アナリスト)にかかるコストの全てが必要です。

【問題点】

インデックス・ファンドと比較して高い手数料を負担したとしても、必ずインデックス・ファンドを上回る成果が享受できる訳ではありません。

インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの差異まとめ

【考え方】

インデックス・ファンド:市場は効率的=追加的な投資機会はない
アクティブ・ファンド:市場は非効率=追加的な投資機会がある

【投資方針】

インデックス・ファンド:存在しない
アクティブ・ファンド:確固とした投資方針がある

【目標】

インデックス・ファンド:株価指数通りの成果
アクティブ・ファンド:株価指数を上回る成果

【手数料】

インデックス・ファンド:低い
アクティブ・ファンド:インデックス・ファンドよりは高い

【問題点】

インデックス・ファンド:経済の新陳代謝を阻害
アクティブ・ファンド:インデックス・ファンドを上回るとは限らない

アクティブ・ファンド選別時のポイント

ほとんどのアクティブ・ファンドはインデックス・ファンドを下回る成果しか挙げられていないと言われています。
それではデータで確認してみましょう。

インデックス・ファンドの成果を上回ったアクティブ・ファンドの比率

【米国株ファンド(2022年6月30日現在)】

過去1年:44.57%
過去3年:14.12%
過去5年:15.53%
過去10年:9.97%

https://www.spglobal.com/spdji/jp/research-insights/spiva/#us

【日本株ファンド(2022年6月30日現在)】

過去1年:24.35%
過去3年:23.60%
過去5年:16.06%
過去10年:13.82%

https://www.spglobal.com/spdji/jp/research-insights/spiva/#japan

ご覧の通り期間が長くなればなるほどアクティブ・ファンドは劣勢に立たされます。(※2)

過去10年でインデックス・ファンドを上回る成果を挙げたファンドは、日米共に約1割しか存在しません。
このように、高いコストを負担してもインデックス・ファンドを上回る可能性が小さいのであればアクティブ・ファンドに投資する意味はないと一般的には考えられています。
しかし裏を返せば1割存在する優良なファンドを選別することができれば長期的な成果は飛躍的に向上します。

【優良アクティブ・ファンドを選別できた場合のシミュレーション】

前提

株価指数年次リターン:7%
インデックス・ファンドの手数料:0.1%
アクティブ・ファンドの手数料:1.0%
アクティブ・ファンドの超過収益(※3):3.0%

この前提の場合手数料を差し引いた各ファンドの年間リターンは次の通りです。

インデックス・ファンドのリターン:6.9%(7.0-0.1)
アクティブ・ファンドの手数料:9.0%(7.0+3.0-1.0%)

各10年後のリターンは次の様になります。

インデックス・ファンドのリターン:194.8%(1.069^10)
アクティブ・ファンドのリターン:236.7%(1.09^10)

細かい設定を排除したあくまで机上のシミュレーションですが長期に渡って市場を上回る成果を挙げるアクティブ・ファンドの存在は魅力的です。

それでは本題のアクティブ・ファンド選別時のポイントです。
ポイントは3つあります。

①過去の実績
②運用チームの安定性
③ファンド規模(ファンド上限設定有無)

①過去の実績

やはり過去の実績は重要です。
長期間市場を上回った実績があるのは何かしらのノウハウがある証拠です。
過去実績はファンドの運用報告書や証券会社のサイトで簡単に確認できます。

②運用チームの安定性

アクティブ・ファンドはファンドマネージャーを中心としたチームで運用します。
そのためチームメンバーの入れ替わりが激しいようだと安定した運用が不可能になります。
運用チームの安定性については、ファンドの公式サイトで問い合わせて確認します。

③ファンド規模(ファンド上限設定有無)

①、②をクリアしたファンドであっても運用資産規模が急増するファンドは成績が悪化する例が多いです。
日本だと「ひふみ」が典型的です。
「ひふみ」は運用資産が大きくない時代は日本の小型成長株に特化して好成績を挙げていました。しかし人気が高まりファンド規模が大きくなるにつれ、当初の運用スタイルから逸脱し、日本の大型株や海外株式に投資対象を広げています。その結果、かつての高いリターンを残せなくなりました。
一方で好成績を長期間安定的に残すファンドは、自らが得意とする投資スタイル、すなわち指数を上回ることが可能な額を理解しています。
そのためファンド上限を設定し、設定額を上回る申し込みは断ることを徹底しています。無尽蔵に運用資産を集めることはしません。

※2 例外的に米国株で過去1年より過去3年の成績が悪化してるのは、この間に新型コロナウイルスのパンデミックが発生し世界的な金融緩和状態になったことが原因です。金融緩和により米国株がバブル的に上昇したのですが、指数が急激に上昇する局面ではアクティブ・ファンドは指数を上回ることが難しくなる傾向があります(要因を説明するとむしろ混乱を招くため、そういうことがあると理解してください)。

※3 超過収益とは指数を上回った成果(リターン)のこと。

インデックス・ファンドかアクティブ・ファンドか

これはそれぞれの投資ポリシーによって異なります。
3つ目のパートでまとめた双方の差異を確認して決めましょう。大まかな指針は次の通りです。

【インデックス・ファンドが向く人】
・とにかくコスト重視
・投資先企業に興味がない
・投資に時間を割けない
・投資に特別なこだわりがない

【アクティブ・ファンドが向く人】
・リターン重視
・投資先企業にも興味がある
・研究熱心で投資に時間をかける余裕がある
・投資にも意味を持たせたい

いかがでしたでしょうか。
投資本やWebサイトではインデックス・ファンドvsアクティブ・ファンド論争があり、多くはインデックス・ファンドを推奨する論調がほとんどです。
しかしそれぞれの特徴を考慮すると、投資家にとっての最適解は変わってきます。
せっかく投資をするのであれば自分に合ったファンドを選びたいものです。
本記事を参考に選んでみてください。