住宅の購入や住宅ローンの締結はライフプラン設計において最重要イベントと言えるでしょう。少しでもお得に契約したいと考える方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンの契約では金利を「固定金利」と「変動金利」から選択する必要があります。固定金利と変動金利はどちらがお得なのでしょうか。それぞれの違いを確認しておきましょう。
Contents
1.住宅ローンの金利とは
住宅ローンの金利には様々な種類があります。住宅ローン金利の種類について確認しておきましょう。
(1)全期間固定型
全期間固定型とは返済完了までずっと同じ金利が続く契約です。全期間固定型は返済完了まで金利が変わらないため借入契約時に総支払額が確定します。
(2)一定期間固定型
一定期間固定型とは5年や10年など一定の期間を固定金利として10年後から固定金利とするか変動金利とするか選択できる契約です。例えば、借入から当初10年間を固定金利として10年後から選択するという契約とした場合、当初10年間は固定金利でローンを支払い、10年後から固定金利と変動金利を選択することができます。10年後に固定金利を再度選択することも可能です。
(3)変動型
変動金利とは返済期間中の市中の金利情勢によって金利が変動するタイプの契約です。金利は半年ごとに見直しが行われますが、金利が急上昇したとしても前回見直しの125%までしか金利を変更することができないということがルールで決まっています。
同じ金融機関であれば、変動金利の方が固定金利よりも当初の金利は低く設定されています。
(4)元金均等と元利均等
住宅ローンでは固定金利と変動金利の選択以外に返済方法として「元金均等」と「元利均等」のどちらかを選択する必要があります。元金均等とは元金が一定で、住宅ローン残高に対する金利を支払う方式です。
元金均等では支払い期間中繰り上げ返済を行わない限り、返済金額における元金の金額は一定で金利支払い部分が徐々に減っていきます。例えば、毎月の返済金額の元本部分が10万円であった場合、10万円+残高に対する金利が毎月の支払金額になります。元金均等返済では契約当初の負担部分が多い代わりに確実に元本が一定額減っていく契約形態です。
一方の元利均等返済とは元金と金利の返済金額の合計が常に一定になる契約形態です。
例えば、毎月の返済金額が10万円と決められているのであれば、10万円のうち元本部分と金利部分に分かれます。
そのため、元利均等返済の場合、毎月の負担額は一定にすることができますが、契約当初はローンの残高が大きいため、支払っている金額のうち金利部分が多くなるため、元金均等返済に比べ、元本がなかなか減っていきません。
元金均等返済と元利均等返済はそれぞれのメリット・デメリットがありますので、内容をよく確認して契約するようにしましょう。
2.固定金利のメリット
まず固定金利にはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認していきましょう。
(1)将来の出費額が確定するためライフプランを立てやすい
固定金利の最大のメリットは将来の出費額が確定すると言う点です。
住宅購入は人生最大の買い物であり、それに伴って支払う住宅ローン金利も負担は軽いものではありません。
固定金利であれば将来の出費額が確定するため、ライフプランを立てやすいと言うメリットがあります。
住宅を購入する世代はこれから子供の教育費など出費が多くなる方も多いため、将来の出費額が確定すると言うメリットは大きいと言えるでしょう。
一定期間を固定する住宅ローンを契約することで、子供が大学をするまでは固定金利にしておくなどライフプランにあわせて契約を行うことを検討してみても良いでしょう。
(2)現在の超低金利で固定できる
現在は超低金利が続いており、歴史的にみてもかなり住宅ローンを借りる人にとって有利な環境です。現在の超低金利となった背景にはリーマンショックと言われる大不況のあとに金融緩和を行い、金利を低下させたことにあります。現在はヨーロッパやアメリカ等も低金利政策を行っており、世界的に低金利の状態となっています。金利の将来的な見込みの予測は専門家でも困難であり、一般の人には更に難しいでしょう。
今後も超低金利が続くとは限らないため、現在の金利で長期間固定してお金を借りることができると言う点は大きなメリットであると言えるでしょう。
3.固定金利のデメリット
固定金利にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
(1)変動金利よりも高く設定されている
同じ金融機関であれば固定金利は変動金利よりも高めに設定されています。そのため、金利が今のまま変わらなければ変動金利の方が有利ということになります。金利が高いと住宅にかかる費用がそれだけ高くなってしまうため、家計を圧迫してしまいます。当初の金利負担を少しでも低くしたいと言う場合は変動金利を選択するとよいでしょう。
(2)金利が下落しても支払い金利は下がらない
変動金利の住宅ローンは市中の金利情勢によって決まるため、金利が下がる可能性もあります。
しかし、固定金利の場合は金利が下落しても支払い金利は変わらないためメリットを享受することはできません。変動金利を検討する際に金利が上昇する可能性だけを考慮する方も多いですが、金利は下がる可能性もあります。固定金利では金利が下がった場合のメリットを享受できないと言う点も理解しておいた方がよいでしょう。
4.変動金利のメリット
変動金利にはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
(1)トータルのコストを抑えられる可能性が高い
変動金利は固定金利よりも低めの金利で設定されています。そのため、金利が変わらなければ固定金利を選択するよりもトータルのコストを抑えることが可能です。
住宅ローンで最も重視するべき点はやはり金利です。当初の金利が低いと言う点は大きなメリットといえるでしょう。
(2)金利が下がればコストが下がる
変動金利の住宅ローンであれば金利が下落すれば実際に支払うコストも少なくなります。
金利が下落する局面では変動金利を選択しておくメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
5.変動金利のデメリット
変動金利を契約することでどのようなデメリットがあるのでしょうか。確認しておきましょう。
(1)ライフプランが立てにくい
変動金利は固定金利とは反対に総コストがわからないため、ライフプランが立てにくいというデメリットがあります。
ライフプランを立てるためには何歳の時にどれくらいの支出があるかを予測する必要があります。現在の金利でライフプランを立てることはできましたが、想定とは異なる可能性があるため、変動金利の場合、どうしてもライフプランは立てづらくなります。
(2)急激に金利が上昇するリスクもある
住宅ローンの返済中に金利が急上昇する可能性も0ではありません。
金利が急上昇した場合、元金均等返済を選択していた場合には毎月の返済額が多くなってしまいます。
一方、元利均等返済を選択していた場合は利息部分からの支払い部分が多くなり、なかなか元金が減りません。どちらを選択していても変動金利を選択した場合の金利上昇のリスクは大きく変動金利を選ぶ際のデメリットとして認識しておく必要があります。
6.固定金利と変動金利どちらを選ぶべき?
固定金利と変動金利のメリットとデメリットについて解説しました。
どちらを選択するべきなのかわかりやすく解説します。
(1)将来のコストを確定したい方には固定金利がおすすめ
固定金利の最大のメリットは将来のコストが確定するという点です。収入が安定している職業についていて、固定金利の負担に耐えられるのであれば、固定金利で将来のコストを確定しておくこともよいでしょう。
将来のコストが確定することで、老後資金を貯めることや子どもの教育資金のための貯蓄も計画的に行う事が可能です。
(2)ある程度自己資金を出せる人は変動金利がおすすめ
変動金利は万が一金利が上昇した際にある程度自己資金を出して返済できる方におすすめです。
変動金利で契約をすると金利上昇が最大のリスクになります。しかし、金利が上昇しても繰り上げ返済によって元本を減らすことができるのであればリスクを抑えることが可能です。
変動金利では契約当初の支払い金利は固定金利よりも少なくなるため、返済金額に余裕がある場合は将来の金利上昇に備えて、現金を貯めておくということも選択肢の一つです。
金利上昇までにある程度お金を貯められるのであれば、変動金利のデメリットを打ち消すことが可能となります。
(3)固定金利期間選択型も検討しよう
固定金利と変動金利はそれぞれのメリット・デメリットがありますので判断に迷う方も多いでしょう。
住宅ローンは30年を超える契約となることも多いため、そこまで先のことはわからないという方も多いはずです。
そのような方は固定金利期間選択型を選択するというのも一つの選択肢として検討してみてもよいでしょう。固定金利期間選択型は一定期間が固定となり、その後変動とするかどうかを選択することが可能です。固定金利期間選択型は特に教育資金が一定期間後に負担が減る方や退職金等まとまったお金が一定期間後に入ることが分かっている方におすすめです。
例えば、10年後に退職金が入る方であれば、10年間は固定金利として、10年後に万が一金利が上昇した場合は繰り上げ返済を行って金利負担を減らすということが可能です。
出費が多い期間や見通しが立たない期間のみ固定金利とすることで固定金利期間選択型の特徴を活かして契約をすることが可能です。
7.まとめ
固定金利と変動金利について解説しました。固定金利と変動金利にはそれぞれのメリットとデメリットがあります。マイホームの購入や住宅ローンの契約はライフプランの設計において重要なイベントですので、よく検討して選択をする必要があります。それぞれの特徴を理解して慎重に検討するようにしましょう。