住宅購入を考え、「新築にすべきか、それとも中古住宅にすべきか?」と頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?本記事では不動産購入の基本と、新築と中古住宅のそれぞれのメリット、購入の際の注意点を紹介していきます。新築と中古住宅の違いを理解することが、理想的な不動産購入の第一歩となるでしょう。
新築住宅?中古住宅?不動産購入を考えるための3つの基本
「新築にするか?中古住宅にするか?」とお悩みの方は、不動産購入を考えるための基本を確認することから始めていきましょう。
ここからは、新築と中古住宅の違いとして議論されることが多い、次の3つの基本を紹介していきます。
- 価格
- 耐震性
- 住みやすさ
Contents
基本1、価格
住宅購入を検討している方の多くが、新築と中古住宅の違いと考えている1つポイントが価格です。「中古住宅のほうが安い」と認識されている方も多いのではないでしょうか?
しかし、不動産購入を検討しているエリアにもよりますが、その差額は数百万円とされ、決定的な決め手にはなりません。
むしろ、初期費用とランニングコストを加味すると、将来的な支払いは「新築物件のほうが安くなる」こともあり、価格だけで住宅購入を決めるのは難しいと言えます。
基本2、耐震性
新築と中古住宅の違いとしてあげられることが多い、2つ目のポイントが耐震性です。
住宅購入を考え、展示場を回っている方のなかには、新築の耐震等級の高さに魅力を感じている方もいるのではないでしょうか?
しかし、「1981年以降の建物であれば耐震性はあまり変わらない」という声もあり、一概に新築のほうが安心とは言えません。
1978年の宮城県沖地震を受け、1981年に建築基準法が大きく改正されたことにより日本の建物の耐震性は上がり、1995年に発生した兵庫県南部地震でも新基準の住宅の被害が小さかったとされています。
また、次の指標によって表される性能表示によっては、中古住宅でも十分に安心して暮らせる可能性があります。
- 構造の安定:建物の強度に対する評価。等級1は極めて稀に起こる地震に耐えうる。等級2はそのような地震の力の1.25倍、等級3は1.5倍の力に耐えうる。
- 劣化の軽減:サビや腐敗よる劣化のしにくさに対する評価。等級2は自然条件や維持保管条件において、50年から60年まで必要な対策が講じられている。等級3は75年から90年までの対策が講じられている。
- 維持管理、更新への配慮:給水管やガス管のメンテナンスのしやすさに対する評価。等級2は配管をコンクリートに埋め込まないなどの基本的な措置。等級3は専用のガス管を用いて容易に清浄や点検が行える措置がなされている。
- 温熱環境、エネルギー消費量:冷暖房に使用されるエネルギーの削減に対する評価。「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」に分けられる。断熱等性能等級においては、平成25年省エネ基準に該当する等級4、一定の削減対策が講じられている等級3、等級4と等級3よりも対策が小さい場合に等級2とされる。一次エネルギー消費量等級においては、低炭素住宅基準に相当する等級5、2013年の基準に相当する等級4に分けられる。
住宅性能評価表示については、義務化されてはいないものの希望すれば、住宅購入の前に確認することができます。
基本3、住みやすさ
住宅購入を検討する際には、「住宅のどんなところに住みやすさを感じるか?」ということも把握しておきましょう。
新築の最新設備に憧れる方もいますが、中古住宅に最新設備を取り付けることも可能です。また、基本構造がしっかりしている中古住宅であれば、リフォームによって間取りを変更することもできます。
移動の手間や教育環境に重きを置く方には、土地と建物が一緒である中古住宅のほうが想像しやすいという方もいます。
これまでに解説した「価格・耐震性」だけでなく、住みやすさにおいても、新築と中古住宅には大きな違いがないと認識しておきましょう。
新築住宅と中古住宅はどちらが良い?新築のメリット
ここからは新築住宅と中古住宅を比較し、新築のメリットを解説していきます。
新築の住宅購入をする方は、次の5つのメリットを手にできます。
- 新築のメリット1、建物が新しい
- 新築のメリット2、好みの間取りに出会いやすい
- 新築のメリット3、修繕費がかかりにくい
- 新築のメリット4、税金の優遇措置を受けられる場合がある
- 新築のメリット5、保証がある
新築のメリット1、建物が新しい
新築の不動産購入で手にできる1つ目のメリットが、建物が新しいというものです。
新品の状態には限りがありますが、新築の建物には「誰も住んだことがない」という魅力があります。
また、最新の設備を備えている可能性も高くなります。
マンションや建売住宅では売主が設備のグレードを決定しますが、オプションで変更することも可能です。
「生活費を考え、IHのキッチンや断熱ガラスにしたい」という場合には、グレードアップできる不動産会社に声をかけてみると良いでしょう。
新築のメリット2、好みの間取りに出会いやすい
好みの間取りに出会いやすいことも、新築の不動産を購入するメリットの1つです。
一昔前までは、「先に建築された中古物件のほうが良い間取りの建物が多い」と言われていました。
しかし、最近では駅前の再開発などによって、新築でも間取りの良い物件が増えてきています。
もちろん、注文住宅であれば理想的の間取りを手に入れられますが、分譲している物件が豊富な不動産会社を探すことで、イメージに近い間取りに出会える可能性を高められるのです。
新築のメリット3、修繕費がかかりにくい
新築の不動産購入では、修繕費がかかりにくいというメリットを手にすることもできます。
一般的データでは、築30年以降に500万円ほどの修繕費がかかるとされています。
一見手ごろに見える中古物件でも、「どのくらいで築30年になるか」を考えてみると良いでしょう。
築20年の中古物件を購入する場合と新築を購入する場合を比較してみると、中古物件のほうが早い段階で、500万円ほどの修繕費が必要になるのです。
新築のメリット4、税金の優遇措置を受けられる場合がある
新築の不動産購入で手にできる4つ目のメリットが、税金の優遇措置を受けられることがあるというものです。
新築を購入することで優遇される税金は次の3つです。
- 固定資産税(毎年1月1日時点で不動産を所有している全員に発生する税金):(固定資産評価額×税率1.4%)の税金が、戸建ては3年間、マンションは5年間、建物分の固定資産税が半額
- 登録免許税(所有権移転や保存の登記手続きを行う際に税金):(土地と建物のそれぞれの評価額×2.0%):の税金が、建物分の固定資産評価額×0.15%に軽減
- 不動産取得税(登記を終え、物件の引き渡しと購入手続きが完了したタイミングでかかる税金):(土地と建物のそれぞれの評価額×4.0%)の税金が建物分の課税標準額から1200万円が控除
なかには中古住宅でも優遇される税金もありますが、新築のほうがその割合が大きく、建物本体の費用以外にかかる費用を抑えられます。
メリット5、保証がある
保証があることも、新築の不動産購入で手にできるメリットです。
新築の売主には、住宅の主要構造部分の瑕疵を10年間保証する瑕疵担保責任が義務付けられています。
壁や柱、床といった主要構造部に不具合が生じた場合には、売主が構造的な欠陥に対し、その補修をするための修繕費を支払う義務があるのです。
もちろん、地震などの天災によって生じた不具合は保証の対象とはなりませんが、建物に対する安心感は新築の建物を購入するメリットと言えます。
新築と中古住宅はどちらが良い?中古住宅のメリット
中古住宅のメリット1、戸建てでも実物を見て購入ができる
中古住宅の不動産購入で手にできる1つ目のメリットが、戸建てでも実物を見て購入できるというものです。
マンションであれば新築と中古に関わらず内覧をできますが、戸建ての場合には中古物件でなければ購入前に実物を見ることはできません。
「中古住宅の価格に惹かれている」という方は、積極的に内覧できる物件を見学してみると良いでしょう。
新築の戸建ては建築後でないと日当たりや、間取りの住みやすいさを確認できませんが、中古住宅であれば、購入前にチェックできます。
中古住宅のメリット2、希望のエリアでの土地探しが容易になる
希望エリアでの土地探しが容易になることも、中古住宅の不動産購入で手にできるメリットです。
戸建て、マンションに関わらず、中古住宅には「土地と一緒に販売されている」という特徴があり、不動産購入の際には必ずセットで契約することになります。
また、新築の不動産購入に比べ、土地に多めの予算を充てられることも特徴の1つです。
仮に総予算が同じ3,000万円でも、新築の不動産購入よりも建物が安いため希望のエリアでの土地探しが容易になります。
中古住宅のメリット3、自分の好みにリノベーションできる
中古住宅の不動産購入で手にできる3つ目のメリットが、自分の好みにリノベーションできるというものです。
先ほども触れたように、新築の不動産購入よりも建物の費用を抑えられることが中古住宅の特徴です。
仮に「間取りがイマイチ」という場合でも、中古住宅であれば予算内でリノベーションできる可能性が高まります。
また古民家風など、雰囲気を重視したいという方も、リノベーション可能な物件のほうが実現しやすいと言えるでしょう。
新築・中古住宅の不動産購入で気をつけるべき3つの注意点
最後に、新築・中古住宅に関わらず、不動産購入の際に注意したいことを紹介していきます。
不動産購入の際の注意点は次の3つです。
- 信頼できる不動産会社かどうか?
- 価格が適性かどうか?
- 安心して住めるかどうか?
注意点1、信頼できる不動産会社かどうか?
不動産購入の際に気をつけるべき1つ目の注意点が、信頼できる不動産会社かどうかです。
服や車などの買い物と違い、不明確な点が多いのが不動産の購入です。
特に新築の注文住宅の場合は、「どのくらいの予算になるかわからない」、「住み始めてみないと住みやすさがわからない」といった不安が伴い、不動産会社の質が建物に直結するケースも少なくありません。
そのため、必ず「不安を感じる点を汲み取ってくれる不動産会社」を選ぶことをおすすめします。
もちろん、どんな不動産会社でもお願いすれば対応してくれるでしょう。
ただし、不明点が多い不動産購入では、ユーザーが気づきにくい箇所があるため、不動産会社のサポートが必要になります。
注意点2、価格が適性かどうか?
価格が適正かどうかも、不動産購入の際に気をつけたい注意点です。
新築・中古住宅に関わらず、建物には建築会社の相場、土地は地価に基づいて価格が決められています。
千代田区であれば800万円/1坪ほど、中央区であれば670万円/1坪といったように相場が決められているのです。
そして、この相場をもとに、「高すぎる物件」「安すぎる物件」を排除していきましょう。
特に中古物住宅は安さを売りにすることが多く、建物と土地の相場よりも安すぎる場合はそれなりの理由があると考えられます。
注意点3、安心して住めるかどうか?
不動産購入の際の3つ目の注意点が、安心して住めるかどうかというものです。
新築、中古に関わらず、先ほど触れた住宅性能を確認することをおすすめします。
また、水害リスクについても、契約時におこなわれる重要事項説明書に盛り込むことが義務付けられています。
契約をする前に、地震に耐えられる構造躯体であること、水害リスクが小さいことを確認しておきましょう。
まとめ
住宅購入を検討し、新築と中古住宅の両方を検討している方は、どちらにも違ったメリットがあることから理解していきましょう。
「中古住宅のほうが安い」と言われるケースが多くありますが、ランニングコストを加味すると、新築のほうがお得になることも珍しくありません。
また、税金の優遇措置を受けられるケースがあるのは、新築ならではのメリットと言えます。
このように、それぞれにメリットがあるために、「自分に合っているか?」を確認する必要があるのです。
そして、自分にあっている物件がわからないという方は、第三者に相談することをおすすめします。
不動産購入に利害関係のない第三者に相談することで、どんな住宅を購入すべきかを明確にできるでしょう。