【2021年スタート】がん教育とは!?

2021年度から中学校でスタート、そして2022年度から高校で「がん教育」が始まります。
がん教育は、どんなことを目的に実施されて行くのでしょうか!!!

Let’s、スターティン🍎!

Contents

がん教育の目指すもの

がん教育の定義

がん教育は、健康教育の一環として、がんについての正しい理解と、がん患者や家族などのがんと向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを通して、自他の健康と 命の大切さについて学び、共に生きる社会づくりに寄与する資質や能力の育成を図る教育である。

がん教育の目標

1,がんについて正しく理解することができるようにする

 がんが身近な病気であることや、がんの予防、早期発見・検診等について関心をもち、正しい知識を身に付け、適切に対処できる実践力を育成する。また、がんを通じて様々な病気についても理解を深め、健康の保持増進に資する。

2,健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにする

 がんについて学ぶことや、がんと向き合う人々と触れ合うことを通じて、自他の健康と命の大切さに気付き、自己の在り方や生き方を考え、共に生きる社会づくりを目指す態度を育成する。

2015年3月学校におけるがん教育におけるあり方についての報告書より抜粋

では、まずは【がん】を知るという事からお話をしていきましょう。

健康な体がどうなることを【がん】というのでしょうか?
約37兆個あるわたしたちの体の細胞は毎日分裂し新しくなっていますが、細胞分裂するときに変異が起こることがあります。
その変異した細胞はどうなるのでしょうか?
正常に修復されるものもあれば、排除されるものもあります。
修復や排除により正常に保たれるしくみがありますが、修復や排除のしくみが働かないとき、異常な細胞が増えてかたまりになることがあります。
その異常な細胞のかたまり悪性のものを【がん】と言います。

次に、【がん】ができる原因は何でしょうか?


国立がん研究センターが日本人を対象としたがん研究結果を見ますと、
男性の場合は、
喫煙』が29.7%で、一番多くなっています。
感染』が22.8%で2番目に多くなっています。
女性の場合ですが、
感染』が17.5%で一番多く、次に『喫煙』が5.0%となっています。
国立がん研究センターが日本人を対象としたがん研究結果により、わかっている原因は、
細菌やウィルスによる感染」、「喫煙などの生活習慣」、そして「遺伝的原因」の大きく3つにわけられています。

これら3つの原因以外に長生きも原因のひとつと言われていますが、長生きをすることで、細胞分裂の回数が多くなり、細胞が変異する可能性が高まるからと言われています。
つまり、長生きによって細胞を正常に保つ働きが低下し始めることから、【がん】は誰もがなりうる病気であると言えます。

2人に1人ががんになる時代

さて、101万人?!この数字は何の数字でしょうか?
これは、2020年の1年間のがんの罹患者数の予測の数字です。(2020年9月4日時点)
まだ実数は判明していませんが、2017年は約97万人だった(※)ので、増えていることがわかります。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録)全国がん罹患データ(2016年~2017年)

がん罹患者数の増加の主な原因は、高齢化と言われています。
では、日本人はどれくらいの割合で【がん】になっているのでしょうか?

がんになる人の割合は2人に1人と言われています。
がん罹患率、年齢による変化を見ると、生涯でがんに罹患する割合は男性で65.5%、女性は50.2%となっています。
つまり、日本人の2人に1人が【がん】になる可能性がある事から、【がん】は誰もがなりうる病気であると言えるのです。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」がん罹患率

次に、日本のがん対策について見ていきましょう。
誰もがなりうる病気、【がん】。
それを予防する為にできる事は無いのでしょうか。
先程、がん研究結果により、わかっている原因は大きく3つにわけられるというお話をいたしました。
細菌とウィルス」、「生活習慣」、「遺伝的原因」のうち、「生活習慣」は自分で気を付けることができます。

では、どのような生活を送ればよいのでしょうか。
例えば、禁煙、節酒、バランスのよい食事、適正体重の維持、適度な運動等、これら望ましい生活習慣により【がん】になる危険性を減らすことができるのではないでしょうか。
細胞の変異は常に起こっており、長い時間をかけて【がん】になりますので、若いころからの望ましい生活習慣が大切ではないでしょうか。

次に、がん検診を受け、【がん】を早期発見することの大切さを考えてみましょう。
こんなやりとりからどんなことがわかるでしょうか。
Dr:「がんが見つかりました。まだ小さく、治る可能性が高いです。」
Aさん:「わたしは、元気そのもので、何の症状もありませんが。」

【がん】の進行は10年以上かけて起こると言われています。
ひとつのがん細胞が1センチメートルの大きさになると、がん検診で見つかる大きさになると言われており、大きさが2センチメートルを超えると自覚症状が現れると言われています。

では、自覚症状が出る前に【がん】を見つける方法は何でしょうか?
答えは、症状がなくても検診を受けることです。
【がん】は大きくなるまで自覚症状がないため、がん検診を受けて早期に発見することが大切になります。

全国がん(成人病)センター協議会 2004年-2007年診断例より作成

次に、がんの進行度と5年生存率の関係について見ていきましょう。
5年生存率とは、【がん】と診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかを表しています。
これは、5年生存率を表す検診で見つかるⅠ期の5年生存率は95%ほどとなっています。
自覚症状が出始めるⅢ期のケースでは、5年生存率は約50%となっています。
この5年生存率の関係からも、【がん】は早く見つかれば5年生存率が高い傾向にあり、そして、早く見つけるには、検診を受けることが大切と言えるのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、大切なポイントは、症状がなくても検診を受けること、そして、症状がある場合は、速やかに病院へ行って相談をすることです。

がん検診受診率50%超

そして、早期発見のためにがん検診受診率の向上に向けた国の取り組みを見ていきましょう。
国のがん対策についてです。
冒頭にも記載させて頂いた通り、国が主導してがん対策としてがん教育に取り組んでいます。
がん対策基本法改正法という法律で、がん教育・普及啓発のために、全国の小学校・中学校・高等学校で「がん教育」が推進されています。
そして、がんの早期発見のために、社会人向けにがん検診受診率向上のための企業連携を行っており、国の「がん対策推進基本計画(平成30年、第3期)」において50%以上の達成が個別目標の一つに掲げられています。

国が推奨しているがん検診の対象年齢と検診間隔についても詳しく見てみましょう。
胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診、乳がん検診、子宮頸がん検診の5種類あります。

【胃がん検診】  対象年齢:50歳以上 / 受診間隔:2年に1回
【大腸がん検診】 対象年齢:40歳以上 / 受診間隔:年1回
【肺がん検診】  対象年齢:40歳以上 / 受診間隔:年1回
【乳がん検診】  対象年齢:40歳以上 / 受診間隔:2年に1回
【子宮頸がん検診】対象年齢:20歳以上 / 受診間隔:2年に1回

地方自治体から届いた、がん検診の受診券でご覧になったこともあるのではないでしょうか。
誰もがなりうる病気【がん】、私たちも、がん検診を積極的に受診し、予防につとめましょう!

がん治療とは

では、【がん】はどのように治療するのかを見てみましょう。
実は、ほとんどの【がん】は発生の原因がわかっていない為、治療法が確立されておらず、日々新しい治療が開発されています。
がん治療の種類は大きくわけて3つあります。

【標準治療】
 科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療です。

【先進医療】
 保険診療として認められていない医療技術の中で、保険診療とすべきかどうかの評価が必要であると厚生労働省が定めた治療法(評価療養)のことです。

【自由診療】
 公的医療保険制度が適用されない診療のことです。

一般的に広く行われている標準治療を詳しく見ていきましょう。
標準治療には「手術療法」「化学療法」「放射線治療」の3つがあります。
がんの種類や状態などにより選びます。またいくつかの治療法を組み合わせることもあります。

【手術療法】
 手術でがんを取り除きます。
<特徴>
・早期のがんなら数日の入院または通院で治療ができます。
・体への負担は大きいですが、内視鏡を用いた手術など、負担を軽減する方法も普及してきています。

【化学療法】
 抗がん剤などの薬により、がん細胞の増殖を抑えます。
<特徴>
 副作用の可能性もありますが、最近では通院で治療できる場合も増えつつあります。

【放射線治療】
 放射線でがんの細胞を死滅させます。
<特徴>
 通院で治療でき、からだへの負担が比較的少ないと言われています。

先進医療のあれこれ

更に、テレビCMでおなじみの先進医療について詳しく見ていきましょう。
先進医療とは、効果や安全性を科学的に確かめる段階の高度な医療技術を用いた治療法です。
特徴としては、先進医療にかかる技術料は全額自己負担になります。
そして、実施可能な医療機関が限定されています。

次に、がんの先進医療の技術料金の例を見ていきましょう。

先進医療の技術1件当たりの費用年間実施件数平均入院期間
重粒子線治療約308.9万円720件9.6日
陽子線治療約269.7万円1,295件19.8日

参照:厚生労働省 第81回先進医療会議資料 令和元年度(平成30年7月1日~令和元年6月30日)実績報告


重粒子線治療の1件あたりの費用は平均で約308万円、年間実施件数は720件です。
陽子線治療の1件当たりの技術料金は、平均約269万円、年間実施件数は1,295件です。

標準治療と先進医療について、肺がんの事例を用いて比較してみましょう。
<標準治療の手術の場合>
 入院の必要があり、肋骨の間を開いて開胸手術を行うのが一般的です。
 術後リハビリが必要なこともあります。

<重粒子線治療の場合>
 入院の必要がなく、一回の照射で治療が終了。
 リハビリの必要がないという特徴があります。
 ※ただし、この重粒子線治療という先進医療を受けるためには、一定の条件をクリアする必要がありますので、ご注意ください。

ガイドラインによる弊害

次に、自由診療の事例を見ていきましょう。
上顎洞(じょうがくどう)がんの事例です。
主治医から「生きることを優先しますか?」と聞かれ、提案された治療は顔面の手術です。
もし手術を受けると鼻と両目を失うことになります。
どうしても鼻と両目を失いたくなかった患者さんは、自由診療まで幅を広げて別の治療方法がないか相談を行い、その結果、手術を回避し樹状細胞(じゅじょうさいぼう)ワクチン療法という220万円費用がかかる自由診療の治療法で治療を行われました。
この方の事例でみなさまにお伝えしたい大切なポイントは、” 患者さん自らが情報収集をされた “ということです。
手術以外にも治療の選択肢があるのに、患者さん自らが治療方法の情報収集を行う必要があるのはなぜでしょうか。
それは、一定のルールに沿って治療が行われているからです。
その一定のルールを定めているのが診療ガイドラインになります。
診療ガイドラインとは、それぞれの病気について標準的と思われる治療方針を最新のエビデンスに基づいてわかりやすくまとめた全国統一のマニュアルで、がんの治療には標準治療が優先されることが明記された、日本癌治療学会と各専門学会によって作成された指針です。
一般的に、健康保険が適用されない先進医療などは診療ガイドラインに載っていません
では、重粒子線治療などの先進医療や樹状細胞(じゅじょうさいぼう)ワクチン療法などの自由診療などの納得できる治療を受けるためには何が必要なのでしょうか。
それは、【がん】になった場合に、患者さんとそのご家族が自ら治療法に関する情報を収集し、検討することが大切な事ではないでしょうか。

がんファイアンンス

また上記の事を踏まえて、がんファイナンスについて見ていきましょう。
先程、治療法に関する情報収集が大切だというお話をさせていただきましたが、納得できる治療を受けるために、情報以外に必要なものはあるのでしょうか。
お気づきのように、情報だけでなく、お金も必要です。
がんの治療現場では、お金の準備ができていなかったため、受けたい治療を断念される患者さんがたくさんおられると聞いております。
がんファイナンスという言葉の意味は、【がん】にかかった時の「家計」のことです。
がんに罹患した場合、必要な費用は「治療費」だけではありません。
ポイントは3つあります。

  • がん治療に専念できるまとまったお金があること。
  • がんの治療中も家族が安心して生活できる日々の生活資金が用意できていること。
  • がんが再発・転移した場合に納得できる治療を受けるための継続的な資金を用意できていること。

なぜこの3つのポイントが大切のか?!
これは、がん患者さんやがん経験者の就労についての調査結果で見る事ができます。
がんの診断後、勤労者の34%が依願退職、解雇となっている。そして自営業者などの方の13%が廃業している。という結果です。

参照:厚生労働科学研究費補助金、厚生労働省がん研究助成金「がんの社会学」に関する合同研究班(主任研究者 山口建)(平成16年)
第58回がん対策推進協議会(資料6)平成28年


つまり、【がん】と診断された後、働き方が変わる可能性があるのです。
がんに罹患した場合、経済的な問題が2つあります。
1つは、治療などにかかる支出に関して、がん治療は高額になる可能性があること。
2つは、就労期間中の場合、働き方が変化し、収入が減少する可能性があること。
がんの治療を行っていても、住宅ローンなどの出費は減りませんよね。(※がん団体信用生命保険未加入・固定資産税等)
また、小さなお子さまがおられる場合、教育費や生活費なども気になりますよね。
治療を続けることで、これまで通り働くことができず、収入が減収するかもしれません。
そういった事で、家計の収支のバランスが崩れるケースが起こりえます。
ですので、家計の収支バランスを保つためには、まとまったお金があった方がより安心ではないでしょうか。
そして、大切な家族の日々の生活を守る継続的な「生活資金」や再発の際にも、がんの治療に専念できる環境も必要であるのではないでしょうか。

今回は、【がん】について、一般的な内容になりますが、様々な角度からお伝えをさせて頂きました。
1981年以来、死因の1位を占め続けている疾患で、生涯罹患率も約50%と2人に1人はかかる病気です。
ある意味、身近な病気になっているのですが、詳しく知ろうとする人は意外に多くありません。
これには怖い事は知りたくないとう言う心理が大きく関わっているのではないでしょうか。
確かに怖い病気であり、治療に伴う副作用もあると聞いています。
だからと言って、過度に恐れるのではなく、他の病気で亡くならなくなり、平均年齢が延びて、がんになる機会が増えたこともでもあり、また、がんの治療が進歩していない訳でもないはずです。

治療については、専門家ではなりませんので、控えさせて頂いますが、我々個人個人が出来る事、ますは、万一があっても安心できる家族との絆、そして経済的な面で安心ができるかを確認する事、つまり現状把握(サポートや資産状況ではがん保険等)をする事が、大切ではないでしょうか!勿論、病は気からとも言いますから、心も体も、明るく・元気に・楽しく日々を過ごすことも、めちゃくっちゃ大切ではないでしょうか!

今を変えれば過去も未来も変えられる!!!