iDeCoとDCの違い

「iDeCo(個人型確定拠出年金)とDC(企業型確定拠出年金)では何がどう違うんだろう?」「iDeCoとDCはどちらがお得なんだろう?」など、お困りではありませんか?
iDeCoとDCは、3つの税制優遇メリットを受けられ、原則として60歳以降までは引き出せないということは共通していますが、拠出金や運用商品、手数料などで違いがあります。
今回は、iDeCoとDCの概要について説明した上で、iDeCoとDCの共通点と違いについて徹底解説していきます。

◆1.老後のための資産運用制度:iDeCoとDC

人生100年時代に向けた資産運用制度:iDeCoとDCの基本について押さえておきましょう。

〇1-1.iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCo(イデコ)は、「個人型確定拠出年金」とも呼ばれる私的年金制度です。
個人が60歳になるまで毎月掛け金を拠出し、自ら選んだ投資信託で運用していき、60歳以降に一時金もしくは年金として受け取れる制度となります。
iDeCoは人生100年時代の資産運用制度として、つみたてNISAとともに金融庁が一押ししている個人投資家優遇制度で、2019年6月に金融庁が発表した「年金2,000万円問題」を受けて加入者が急増しています。
iDeCoの最大のメリットは、次の3つの税制メリットを受けられることです。
  1. 拠出金が全額所得控除される。
  2. 運用益が非課税となる。
  3. 60歳以降に受け取る際には「退職所得控除」(一時金として受け取った場合)もしくは「公的年金等控除」(年金として受け取った場合)が適用される。
なお、iDeCoは、自営業者・フリーランサー、会社員、公務員によって月々の拠出金上限に差があります。
また、iDeCoは一度でも始めてしまうと、原則として60歳になるまで資産を引き出すことはできません。iDeCo開設時には手数料が発生し、その後も拠出するたびに手数料が掛かってくるため注意が必要です
iDeCo口座は1人につきいずれかの金融機関1口座にしか開設することができず、金融機関にとって運用商品が異なるため、金融機関選びも重要になってきます。

〇1-2.DC(企業型確定拠出年金)とは?

DCは、「企業型確定拠出年金」と呼ばれる年金制度です。
企業が掛け金を毎月拠出し、加入者である従業員が自ら運用して、60歳以降に運用金を受け取ることが可能です。
DCは、企業が主体となる制度であるため、DCを実施している会社に勤めており、規約に定められている要件を満たす方が加入対象となります。従業員が自動的に加入する場合と、DCに加入するかどうかを任意に選択できる場合があり、企業によって異なります。
DCでは、拠出金が全額所得控除され、運用益が非課税となり、60歳以降に引き出す際には「退職所得控除」(一時金として受け取った場合)もしくは「公的年金等控除」(年金として受け取った場合)が適用されます。この3つの税制メリットを受けられることが最大のメリットです。
また、DCでは、会社が拠出する掛け金に加えて、加入者本人が掛け金を上乗せして拠出できる「マッチング拠出」制度があります。
「マッチング拠出」で拠出した掛け金も全額所得控除の対象となるため、税制優遇を受けながらDCの拠出金を増やすことが可能です。

◆2.iDeCoとDCの共通点

iDeCoとDCの違いについて見ていく前に、共通点を押さえておきましょう。

〇2-1.税制優遇制度

3つの税制優遇を受けながら老後資産を形成できることは、確定拠出年金制度の最大のメリットであり、この点ではiDeCoとDCは共通しています。
(1)拠出金が全額所得控除される。
iDeCo・DCのいずれも拠出金は全額所得控除され、所得税が減額されます。
(2)運用益が非課税となる。
投資の運用益には約20%の税金が掛かりますが、iDeCo・DCの運用で発生した運用益は全て非課税となります。
運用益が非課税となることは、資産運用の複利効果において大きな影響があり、iDeCoとDCの最大のメリットと言っても過言ではありません。
(3)受け取る際には「退職所得控除」「公的年金等控除」が適用される。
iDeCo・DCではいずれも60歳以降になってから、拠出金を一時金もしくは年金で受け取ることになりますが、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」、年金として受け取る場合には「公的年金等控除」の対象となります。

〇2-2.原則として60歳まで引き出せない

iDeCoとDCの共通の注意点として挙げられるのは、運用金は原則として60歳まで引き出せないということです。
iDeCoの場合には、一度でも加入してしまうと、60歳まで拠出手数料が発生し続けることには注意が必要です。
DCの場合には、60歳未満で離転職してしまうと、DCの積立金の移換手続きが必要となることに注意しておきましょう。

◆3.iDeCoとDCの違い

iDeCoとDCの違いについて見ていきましょう。

〇3-1.拠出金の違い

iDeCoとDCとでは、毎月の拠出金の上限額が異なっています。
iDeCoでは、加入している年金制度によって毎月の拠出金上限が設定されています。
具体的には、自営業者やフリーランサーなどの国民年金受給者は月6万8,000円、会社員は企業年金によって月1万2,000円~2万3,000円、公務員は月1万2,000円までとなっています。
DCでは、月々の拠出金は会社によって異なり、役職等によって決まるのが一般的です。
ただ、DCでも拠出金の上限が設定されており、他の企業年金がある場合には月額2万7,500円、他の企業年金がない場合には月額5万5,000円までとなっています。
つまり、会社員の場合、iDeCoでは月額1万2,000円~2万3,000円までである一方、DCでは月額2万7,500円~5万5,000円までとほぼ倍額以上です。

〇3-2.運用商品の違い

iDeCoとDCはいずれも、拠出金を投資信託もしくは元本保証型商品で運用するという点では共通していますが、具体的な運用商品は口座を開く金融機関によって異なります。
例えば、ネット証券大手のSBI証券ではiDeCoもDCも取り扱っていますが、運用商品が異なっていることが分かります。
 ※参考:SBI証券セレクトプランのiDeCo商品
 ※参考:SBI証券企業型拠出年金
SBI証券で比べてみると、iDeCoの方が手数料(信託報酬)が低く、商品の多様性も広い傾向にあります。
また、DCの場合には、金融機関は企業が選ぶことになりますが、iDeCoでは個人で運用したい金融機関を選ぶことが可能です。
自分自身で運用したい金融機関しいては銘柄を選べるという自由度の点では、iDeCoに軍配が上がると言ってよいでしょう。

〇3-3.手数料の違い

個人が負担する手数料の有無という点でも、iDeCoとDCには違いがあります。
DCでは企業が手数料を負担するため、加入者は特に手数料は気にする必要はありません。
iDeCoでは、加入手数料に加えて、毎月拠出するたびに拠出手数料が発生してきますが、これは個人で負担する必要があります。
具体的には、iDeCo口座を開設する際には、国民年金基金連合会へ加入するための初回手数料2,829円(税込)が発生します。その後、iDeCoで掛け金を拠出する月には毎月171円(税込)、拠出しない場合にも毎月66円(税込)の拠出手数料が発生します。
iDeCoの初回手数料と拠出手数料は必ず発生するため、どの金融機関でiDeCo口座を開設しても共通です。また、iDeCoでは金融機関によって、さらに金融機関手数料が発生する場合もあります。
SBI証券や楽天証券、マネックス証券といった大手ネット銀行なら金融機関手数料は無料となるため、初回手数料と拠出手数料しか必要ありませんが、店舗型の金融機関などでiDeCoを開設する場合には注意が必要です。
手数料を会社が負担してくれるという点においては、iDeCoよりDCの方がお得と言ってよいでしょう。

〇3-4.加入可能年齢の違い

人生100年時代を迎えて、今や70歳定年となるまで退職年齢も上がっていることから、2022年5月からiDeCo・DCともに加入可能年齢が引き上げられます。
iDeCoは、現在は60歳未満の公的年金被保険者が加入できますが、2022年5月からは65歳未満にまで拡大されます。
DCは、現在は65歳未満の方が加入対象となっていますが、2022年5月からは70歳未満の方まで拡大されます。ただし、企業によって加入年齢が異なることには注意しておきましょう。
また、給付金の受け取り開始年齢も延長されることが決まっており、2022年4月からはiDeCo・DCともに受け取り開始時期を60歳から75歳までの間で選択することが可能となります。

◆まとめ

今回は、iDeCoとDCの概要について説明した上で、iDeCoとDCの共通点と違いについて解説してきました。
iDeCoとDCは、次の3つの税制メリットを受けられることでは共通しています。
  1. 拠出金が全額所得控除される。
  2. 運用益が非課税となる。
  3. 60歳以降に受け取る際には「退職所得控除」(一時金として受け取った場合)もしくは「公的年金等控除」(年金として受け取った場合)が適用される。
また、原則として60歳以降までは引き出せないという点でも共通です。
一方で、拠出金額ではDCの方がiDeCoより多くなっており、金融機関や運用商品選びではiDeCoの自由度が高くなっています。手数料を会社が負担してくれるという点ではDCはお得と言えます。
iDeCoとDCの違いについてしっかりと理解した上で、人生100年時代の資産運用の役に立てていきましょう。