キャリア女子の気になる妊娠出産のハナシ

こんにちは!
不妊クリニックで助産師として仕事をしているsaoriです。

子供の頃、『将来の夢はお嫁さん』、『将来の夢はお母さん』、そんな話をした記憶はないでしょうか。
今は助産師として産科、不妊治療に携わっている私自身も、子供のころは、『将来、お嫁さんにも、お母さんにも』なんて、誰でも望めばなれるものだと本気で思っていた人の1人。
しかし現実は、結婚を望んでいてもなかなか相手に巡り会えなかったり、男性側が結婚を望んだり家庭を望んだりする人が減り、『将来の夢はお嫁さん、お母さん』は、”努力したら誰でも叶えられる夢”ではなくなりつつあるのかもしれません。

『妊活』のウラにあるもの

現在14.9%の女性は生涯未婚である時代。
また、女性の平均初婚年齢は29.4歳、平均第一子出産年齢は30.7歳。
晩婚化と晩産化、そして少子化が顕著に進む時代となりました。

この晩産化、少子化を受けて『妊活』という言葉がステータスのようにポップに語られるようになり、若い女性にも言葉自体は浸透してきているのではないでしょうか。
今回は、『妊活』という言葉の裏にある、若い女性(もちろん男性にも)知っておいて欲しいことを、産科や不妊治療の現場に携わる助産師目線でお伝えできればと思います。

『妊活』開始の前に女性も男性も性感染症のチェックを

避妊をせずに性交渉をする=妊娠を目指す、は間違いないのですが、一つリスクがあります。
これは性感染症をうつしあうリスクです。
性感染症の罹患率は、若い世代だけでなく全世代で今もなお高く、性感染症の中には自覚症状が乏しいまま、お互いにうつしあっているということもあります。
また、クラミジアなどの性感染症は腹腔内での炎症や癒着を引き起こし、将来の不妊のリスクともなり得ます。
妊活をすることにより、性感染症をうつしあい、不妊のリスクを高めては本末転倒です。
まずは、「ブライダルチェック」という項目で性感染症チェックを実施しているので、どの年代もまずは性感染症チェックをお勧めします。

『妊活』って具体的になにするの?

『妊活』は、「子供が欲しい」と思ったタイミングでスタートします。
誰でもトライする妊活の1st stepは、避妊をしない性交渉でしょうか。
多くの妊娠を望むカップルは、避妊をしなかったらある程度タイミングを取れば妊娠すると考えています。
しかし、晩婚化、晩産化がすすむ日本において、35歳以上で結婚、妊活開始は珍しくなくなりました。

「35歳」というライン

「35歳」という年齢は、産婦人科領域では一つのキーポイントとなる年齢です。
最近では、35歳の妊婦はむしろ若い妊婦と思う人も出てきているかもしれないですが、産科領域では35歳以上の出産を「高齢出産」とよび、また「卵巣年齢」の予備能力を示す「AMH」という値も急激に低下を始め、妊娠率も35歳を過ぎると低下を始めます。
一方で、35歳を過ぎると、妊娠した際の赤ちゃんの染色体異常の可能性がぐっと増えはじめる(=流産が増えたり、生まれてくる赤ちゃんが染色体異常の可能性が増える)というキーポイントとなるのです。

つまり、『妊活』を開始するときに何を始めるべきかについては、夫婦の性感染症のチェックをした上で、その先のステップは、『特に女性の年齢に大きく依る』が正解なのです。

20代、30代の妊活

20代で妊活を始めるカップルでそれほど妊娠を急いでいないカップルは、避妊をせず性交渉を行うことから始めるのでも十分だと考えられます。排卵予定日の数日前より「排卵チェッカー」を使うと尚効果的です。
ちなみに、排卵の2日前の性交渉が最も妊娠しやすいと言われています。

一方で、30歳を過ぎて妊活を始めるときは、助産師としては、もう少し妊娠を急ぎ、積極的に介入するべきかと思います。
具体的には、妊娠が成立するためには、卵管という卵巣と子宮をつなげる管で卵子と精子が出会わなければいけません。その管が、性感染症であるクラミジアの感染既往や子宮内膜症により癒着を起こし、通行止めになっている場合があります。この場合、いくらタイミングをみて性交渉をしても、精子と卵子が出会える可能性は低く、また出会えたとしても、子宮ではないところに妊娠が成立する異所性妊娠となる場合も否めません。
つまり、30歳以上で妊活を始める場合は、まずは病院で『一般不妊検査』を受けて、問題ないことを確認してから夫婦でタイミングを合わせて性交渉を行うことが望ましいです。
さらに、35歳以上は性交渉での妊娠以外の方法、いわゆる不妊治療も視野に妊活を始めることをお勧めします。
これは、すぐに不妊治療を始めるということではなく、計画的に妊娠をトライするために、事前に医師と相談して『妊活の計画』を立ててから臨むことをお勧めしたいのです。

そして、40歳以上はすぐに体外受精を視野に入れた妊活をお勧めします。

このように女性の年齢によって、『妊活』といっても大きくスタートラインが異なることをご理解頂けたかと思います。

『妊活』のコスト

そして、『妊活』には費用がかかります。
不妊治療が2022年に保険診療化されるという報道がありますが、2021年現在、一般不妊検査以外は全て自費診療となっています。
ただ、国を挙げて不妊治療には費用支援をしていて、一般不妊検査には自治体から5万円を上限に、体外受精などの特定不妊治療には30万円を上限に助成金が交付されています。しかし、一般不妊検査等助成金は39歳以下の夫婦を対象、特定不妊治療助成金は43未満であることなど、年齢制限が設けられています。
また、保険会社も各社不妊治療をフォローできるような商品も販売されていて、社会としての支援体制は進みつつあります。

『妊活』を考える

実際に、不妊治療の現場で働く私の体感として、若い女性、もちろん男性にも考えて欲しいことがあります。
それは、ご自身の『ライフプラン』についてです。
『ライフプラン』は、FP女子の皆様は得意分野ですね!
男女雇用機会均等法が成立して以降、男性と女性は同じように働くのがステータスとなってきました。
日本は、ジェンダーギャップ指数でまだまだ「対等に」働ける環境が整っているとは言い難いのが現状ではないでしょうか。
そして、男性側の視点も「対等」にという意識へ進んできてはいますが、身体の違いなど含めて本来は考えるべきだと思います。
妊活』で言えば、女性はいつでも妊娠できるわけではないということを考えなくてはいけないのです。
現在はいつ妊娠をするのか、いつ子育てをするのか、働く女性にとって難しい問題となり、今不妊治療をされている女性の多くは、仕事を優先し、気がつけば40代となり子供を持つことに苦労しているのが現状です。
もちろん、環境として男性も子育てを行うことが当たり前になることも必要です。

女性自らが率先して、自分の『ライフプラン』を考え、結婚するのかしないのか、子供を持つのか持たないのかを自らが選択し、それを踏まえて歳を重ねることが何よりも『妊活』の基礎になるように感じています。

あなたもこれを機にぜひ、ライフプランを考えながら『妊活』について考えてみていいただけたら嬉しいです!

saori 
看護師/助産師/保健師/精神保健福祉士/生殖医療相談士 
東京都八王子市出身
大阪大学医学部保健学科卒業後、助産師を取得。
産婦人科病棟、中絶を行うクリニックでの勤務を経て現在は不妊治療分野に従事する。
望まない妊娠や性感染症、40代になってからの妊娠希望など、知識があれば違う結果になったのでは?と考えさせられる患者さまにたくさん出会い、性教育の必要性を痛感。現在は不妊治療分野での勤務を継続しながら、SNSメインで性教育について発信中。