毎年頑張っているのに目標が達成できない!③コンフォートゾーンとは?その2

こんにちは!HOSメソッドコーチ、合同会社HOS代表の石川 聡です。

約20年間、外資系生保にてセールスとマネージャーを経験した後に独立しました。
現在は2棟の福祉施設経営の他、今年度より営業の方(主に生命保険セールス)向けのコーチングを行っています。このブログでは定期的に営業に必要な考え方、ノウハウ、あるいはマネージャー向けの部下の育成方法のエッセンスなどについて発信をしていきたいと思います。
時にはオンとオフの上手な切替え方や、家族や友人との円滑なコミュニケーションを取るための具体的なスキルなどにも触れながら進めていきたいと思います。宜しくお付き合いください!

 さて、本日のテーマは【毎年目標を達成できない人の心理メカニズム③】としてコンフォートゾーンの正体について引き続き解説していきます。

Contents

コンフォートゾーンと本能

前回のブログでは【コンフォートゾーン】と【ホメオスタシス】についての機能を平熱や体重などを例にとってご説明しました。

簡単にまとめれば、本人が意識していなくとも(極端に言えば寝ていたとしても)身体的コンフォートゾーンである平熱や基礎体重を自動的に維持する機能が我々には備わっているという事なのです。この機能は、環境の変化に負けず生命活動を維持していくために備わった必須の能力と言えます。

しかし、その能力は同時に「ダイエットしてスリムな体形に変身する!」とか「痩せて違う自分に私はなる!」などの【変化の願望】を持った人にとっては、最大限の力を使って邪魔しにくる、まさに障壁とも言える存在でもあるのです。
そう、種の保存の本能からしてみれば簡単に変わられたら困るのです。

そして前回の最後に、体重のような身体的な話と目標達成のような情報的な話は実は一緒の理屈であるとお話ししました。そこに関しては「え⁉ホントに?」という風に思われたかもしれません。今日はそのあたりのお話を例話も交えながらしていきたいと思います。

ある規範の中

我々は身体的なもの同様に、思考や行動なども全て【ある規範の中】で行っています。その規範に±αの若干の幅を持たせた範囲が【コンフォートゾーン】(快適空間)なのですが、ここではその規範を別な言葉で表現してみましょう。
もっと馴染みのある言葉で表現するとどんな言葉になるでしょうか?

答えは【自分らしさ】です。

アイデンティティーという言葉でも表現できると思いますが、まずは判りやすく【自分らしさ】で説明していきますね。つまり我々は、日々の思考や行動は全て【自分らしさの範囲の中】でしか行っていないのです。
せっかちな人がある日突然、性格が真逆に振れて、のんきでおおらかな性格に変わることはまずありません。お金にケチな人が突然散財し始めるという事も実際にはないのです。
そしてこういった人の許容範囲は、誰かに言われた結果決まったものではなく、自分自身が無意識のうちに決めているものなのです。

皆さんも、例えば靴にかける予算は1万円~2万円とか、一回の外食予算はだいたい4000円~7000円とか、自分なりの心地の良い範囲ってありますよね?ここから大きく外れると、上に外れても下に外れても不快感を覚えるようになっています。
例えば1,000円の靴を買うと「安物買いしちゃったかな~すぐダメになるかな~」と思うかもしれません。また、1人30,000円のコースの食事をした場合などは、それは確かに料理はおいしいかもしれませんが、心のどこかで「高いな~。もったいないな~」と思い、モヤっとしているかもしれませんね(笑)。

このようにお金の使い方だけでなく、喜怒哀楽やコミュニケーション、又リーダーシップを取ったり補佐に回ったり、発言したり、黙って仕事をしたり…などなど。全て無意識に形成された【自分らしさの範囲の中】で日々思考し、そして行動しているのです。

” らしさ ”

さてこのように我々は、皆自分らしさというものを無意識に形成しています。幼少期からの経験、親の教育、周囲の評価、得意・不得意、他人との優劣、成功や失敗など様々な外的要因が影響しますが、それらによって「自分とはこのような人間だ」と無意識に決めています。

しかし、これは言語化できておらず、無意識に感じているものです。
言語化できていれば、例えば「自分らしさの範囲はここからここまでだ」などと頭で理解できるのですが、感じているものなのでその範囲の広さや枠組みの寸法も図ることが出来ません。

その結果、具体的な数値というよりは、【自分らしさ】、つまり「自分ってこんな人間」という風にイメージで感じているのです。これを【セルフイメージ】と言います。

この【セルフイメージ】という言葉は是非覚えておいて下さい。なぜなら我々の人生はこのセルフイメージに支配されていると言っても過言でない位、その影響力は強大なのです。

セルフイメージの例を挙げましょう。
年末にドラマ【ドラゴン桜】の再放送が流れていましたね。私も楽しく一気に見てしまいました。
例えば偏差値50にしましょうか。ちょうど真ん中の学力レベルである高校に入学した新入生にインタビューしたとします。
そこで「3年後に東大に合格して下さい」と言ったらどのような反応をするでしょうか?
もちろん「頑張って合格目指します!」と答える方もいるでしょうが、多くの方は「無理です」と答えるのではないでしょうか?
それも即答で。これこそがセルフイメージによる反応なのです。

さもありがちな例のように見えますが(実際ドラゴン桜の初回でも、生徒は瞬時に「俺たちが東大受かるわけねーだろ!」みたいなことを言ってますよね)、冷静に考えればこれはおかしな光景なのです。
まだ始まってもいない高校の勉強で、しかも3年後という先の話なのに、なぜ今の段階で自分には無理だとわかるのでしょうか?
しかもほとんど考えることもなく、まるで反射のように即座に「無理です」と反応するのです。

この即座の反応のメカニズムはおそらくこのような流れでしょう。
まず【自分の学力は真ん中位のレベル】というセルフイメージを持っています。
これは中学校までの経験で染み付いたセルフイメージです。
つまり自分らしいのは平均レベルだと感じている訳です。
そんな自分が一番レベルの高い東大なんて合格できる訳が無い。自分らしくない。自分はふさわしくない。行ける気がしない。
このような感情につながった結果「無理です」という即答になるのです。

「無理です」のメカニズム

ここで言いたいのは、無理という答えや東大を目指すこと自体の是非などではありません。

大事なことは実際の東大の問題や、合格するために必要な事などを見たり調べたりするまでもなく、即答で「(自分なんか)無理」という結論を出してしまっていることにあります。
ここで「無理です」と答えた人は、その後大きな外的環境の変化が無い限りは「東大にチャレンジする」なんて言う概念自体が自分の中からすっかり無くなってしまっているでしょう。
ですから目指しもしませんし、その為の準備や勉強もしません。合格する・しない以前の問題で、すでにこの時点で東大に行ける可能性は0%なのです。

しかもそれは、先生や親に「あなたには無理だから東大はやめなさい」と言われたからではありません。自分自身が一瞬で決めてしまっているのです。自分で無意識に感じている【自分らしいのは平均位の成績】というセルフイメージに対して、東大というそのセルフイメージからかけ離れた目標が不快なのです。
結果、そこには思考もなく、まさに反射ともいえる反応で「無理です」と答え、正に一瞬のうちに人生の可能性の一つを閉じてしまったのです。

このように我々は、【セルフイメージ】が設定した【コンフォートゾーン】の中でしか思考や行動ができないようになっているのです。そこから外れたものに対しては、【ホメオスタシス】が働き不快感を覚え、それを拒絶します。そしてコンフォートゾーンの外に出ていかないようにしているのです。
まさに今回の東大の例は、瞬時にホメオスタシスが働き、一瞬の拒絶で、コンフォートゾーンの外に出ていくのを阻んだのです。

セルフイメージとコンフォートゾーンの外側

しかし、先ほどの同じ高校の中には「東大は行けたらいいな」と思う人もいるでしょう。このような人は「行けるように頑張ります」と答えるかもしれません。さて、このように答えた人はどうでしょうか?

このような人は「東大に行きたい。行けたらいいな」と思っているので、拒絶した人とは違い合格する可能性はあります。少なくとも0%ではありません。しかしそれでも重大な問題があります。それはその人の【自分らしいのは平均位の成績】というセルフイメージがそのまま残っていることにあります。したがってコンフォートゾーンもそのレベルに設定されてしまっているままなのです。

このような方は外的要因により環境を変えていかないと、まず合格することは出来ません。
なぜなら平均的な成績を取るための勉強の仕方・勉強量などに自動的に落ち着いてしまうからです。一時的に猛勉強してもすぐに疲れリバウンドがきます。そう、ダイエットと同じなのです。

さて、今回も前回のブログと同じ締め方をしてみたいと思います。

最後の例であげた、頭では「東大に行きたい」と思っているが、中々合格が難しそうな高校生の例。前々回の「目標を達成したいが出来ない」というセールスパーソンの状況と似ている気がしませんか?

今回解説してきたように、情報空間でもコンフォートゾーンが設定され、それによりホメオスタシスが働いているのです。そしてそれを決定付ける最も大事な要因が今日ご紹介した【セルフイメージ】なのです。

今ご紹介した高校生の例も、セールスパーソンの例も【セルフイメージ】が書き換われば悲願は達成します。次回以降はこの辺りの解説からしていきたいと思います。お楽しみに!

<プロフィール>
  石川 聡 (いしかわ さとし) 合同会社HOS代表
  1968年千葉県千葉市生まれ
  千葉県立長生高校卒業
  信州大学経済学部卒業

就活は「ビールが大好きだから」というとてつもなく間抜けな動機で「麒麟麦酒株式会社」を選定。奇跡的に内定を受け無事入社。その後3場所にて10年間勤務の後、プルデンシャル生命保険より転職の誘いを受け32歳の時に転職。初年度こそ順調に推移したが2年目以降成績は下降曲線。4年目にはどん底の状態になり、半ばうつ状態。お酒の力が無いと怖くて寝られない日々が続いた。小さなことから積み上げようと奮起し毎週1件以上の契約を続けることにこだわる。幸い135週連続で達成し成績はV字回復する。その後営業所長に昇格。自身の売れなく辛かった経験をもとに、脱落者を出さない営業所経営を目指し最終的にメンバー13人、平均年収2000万超の営業所にまで成長させる。
その後自身の使命は「教育」であると確信し、50歳になるタイミングでプルデンシャル生命を卒業・独立し現在に至る。座右の銘は「人生60歳からが本番!」
現在2棟の福祉施設の経営の他、使命である教育事業を2021年よりスタートさせる。
HPにて生保営業・マネージャー向けのメール講座を開設中。
有料メルマガの他無料で読めるブログも執筆中。https://salesperson.jp
著書「トップ営業の手法に学ぶ新時代の吹奏楽指導法」(ヤマハ出版)

~ HOSメソッドとは? ~
 設立した社名にもなっているHOS(Harmony Of Smile)から名付けたメソッド名です。
 和訳すると「微笑みの調和(ハーモニー)」ということです。
 従来のセールスというと顧客を説得して買っていただく。もし反対がきたら反対を処理して…といった、いわばセールスが顧客と勝負するといったような型が一般的でした。
 しかしこれからの時代はこういったスタイルではモノは売れません。顧客に寄添い、顧客が「是非これ欲しいです」といったものに対して、サポートして購入のお手伝いをする。というスタンスに変化していくのです。
 そして購入後も寄り添い続ける事により、顧客の口コミで新しい人との微笑みのハーモニーがまた生まれる。このようなスタイルを生命保険のセールスで実現する新時代のメソッドなのです。現状の勝負スタイルに疑問を持っている方は一度学んでみると良いでしょう!新たな発見があるはずです。