事象を細かく分解してみる

こんにちは!HOSメソッドコーチ、合同会社HOS代表の石川 聡です。

約20年間、外資系生保にてセールスとマネージャーを経験した後に独立しました。
現在は2棟の福祉施設経営の他、今年度より営業の方(主に生命保険セールス)向けのコーチングを行っています。
このブログでは、定期的に営業に必要な考え方・ノウハウ、あるいはマネージャー向けの部下の育成方法のエッセンスなどについて発信をしていきたいと思います。
時にはオンとオフの上手な切替え方や、家族や友人との円滑なコミュニケーションを取るための具体的なスキルなどにも触れながら進めていきたいと思います。宜しくお付き合いください!

 さて、本日のテーマは【事象を細かく分解してみる】です。

 前回のブログで【大雑把(おおざっぱ)に見ると失敗する!】というテーマを取り扱いました。

「売れるようになりたい」といったような大雑把な内容の目標は、まず叶いません。
それを実現するためには目標や、現状、課題などを出来る限り細かく具体化する必要性があるのです。

しかし具体化していく作業は、これがなかなか慣れるまではうまく進まないのです。
今日はその分解の考え方や具体例をあげて紹介しますが、最初からすぐには上手く行かないかもしれません。
しかしこのノウハウは必ず財産になりますので、ぜひ皆さんの実際の作業に活かしてくださいね!

ちなみにこの分解作業は保険のセールスのみならず、【全てのスキル】の習得に使える技術ですので、ぜひモノにして頂きたいと思います。

0.1秒短縮のためのコーチング

まずは、分解するとはどういうことか?
陸上競技を例に説明していきますね。
例えば、100m走のタイムが伸び悩んでいる陸上選手がいるとします。
最近のベストタイムは10秒80で、あと0.1秒は短縮しないとインターハイに行けません。
もしあなたが、この選手のコーチになったとしたら、どのような練習をさせますか?

ちょっと考えてみて下さい。いかがでしょう?
まさかとは思いますが、「あと0.1秒短縮するまで、何回も何回も繰返し走れ!」という気合・根性論の指導はしませんよね(笑)?
こんな意味のない非効率な指導法は、さすがに昭和の後期あたりでも、すでになかったと思います(笑)。

私にアスリート経験はありませんが、こんな素人の私でもまず取り掛かるであろうことは【原因の分析】です。
今であれば、それこそ本人の筋肉の質や付き方などからアプローチを始めるのでしょうが、そこまでいかなくとも100m走をいくつかのシーンに分解することだけでも、一つのアプローチからの原因の分析と対策を練ることができます。

 ① スタートオンから動き出しまでのタイム
 ② 動き出しから20mまでの区間タイム
 ③ 20m~70mまでの区間タイム
 ④ 70mからフィニッシュまでの区間タイム

この4つのタイムについて選手本人と、全国レベルの選手とそれぞれを計測して比較します。
そうすると、この選手が全国レベルの選手に対して優れている(そんなに劣っていない)個所と劣っている個所がわかります。
その結果、上の①と②のタイムに課題があることが判ったとしましょう。
つまりこの選手は、全国レベルの選手に比べ、スタートの反応~動き出しの動作に難があるのです。
逆に言えば、この動作スピードが改善すれば、充分インターハイを狙えるという事です。

このように原因が特定できれば、それに対し効果的な対策を練ることができます。
つまり、この選手がまず取り組むべきことはスタート練習なのです。
これにより、残り90mは走る必要が無く体力が温存でき、時間も節約できます。
結果、何度もスタート練習を反復することができます。
その他にも、例えば目を閉じて、誰かに音を発してもらい聞こえた瞬間に右手を上げるといった「反射速度」の練習なども取り入れる事もできます。
1mも走らなくともタイムを上げる練習はあるのです。

このように、ただ100m全体のタイムを計るだけでは見えてこなかった本当の原因が、分解する事によって初めて明らかになってくるのです。

根性論

さて、この例の冒頭に出てきた「0.1秒短縮するまで何回も何回も繰返し走れ!」という指導法。
「さすがにそれはないな」と思われたことでしょう(笑)。
しかし、セールス世界に話を移して考えるとどうでしょうか?
まだまだこのレベルの指導がなされている気がしませんか?
「アポを入れろ!」とか「訪問件数を増やせ!」とか。
そう、実はセールス世界の皆さんは、先ほどの例を笑っている場合ではないのです。

アスリートの世界から比べると、セールス世界の指導レベルはお話にならない位遅れています。
アスリートの指導はフィジカル(肉体)だけでなく、メンタルトレーニングやイメージトレーニングなども当たり前の様に取り入れその研究開発が進んでいます。

転じて、このセールス世界はどうでしょうか?
いまだに気合と根性論がはびこっていて、50年前からほとんど進歩していません。
つい先日私の車の担当さんから聞いたのですが、自動車販売の業界では、その週のノルマを達成していない営業さんは最終日は夜遅くになってようやく出先から会社に戻ってくるのだそうです。
なぜなら、早く帰ろうものなら「数字も達成してないで何で戻ってくるんだ!」と怒鳴られるので、帰りたくても帰れないのです。
結局その時間ファミレスやら満喫やらで時間をつぶしてから帰社するのだとか。
貴重な人生の時間を削って、失礼ながらですが「無駄な事をしているな~」と思いませんか?

さて、保険業界はどうでしょうか?
この自動車業界の例ほどではないにしても、そう大して変わりはないかもしれませんね。

「アポを入れろ!」。
入れるための見込客がいれば、そんな事言われる前から実行していますよね?
「訪問件数を増やせ!」。
それなら飛込み訪問でも良いのでしょうか?それで結果につながるのでしょうか?

こういった指示・指導に共通しているのが「原因の分析が出来ていない」という事なのです。
原因の分析が出来ていないから、「アポを入れれば数字が伸びる」、「訪問件数を増やせば成績が上がる」という神話を信じてそれをメンバーに強要することになってしまうのです。
ではなぜ、原因の分析が出来ないのでしょうか?
それは、「売れる」とか「売れない」といった表現でわかる通り、事象を大雑把にしか捉えられていないからなのです。

結局、この大雑把なレベルでしか見る事ができない組織や上司は、具体的な本当の原因の分析は出来ませんので、解決する指導を行うことは出来ません。
結果として「気合と根性」に帰結してしまうのです。

分解作業から問題解決へ

では、問題解決のためにはどうしたらよいのでしょうか?
そのためには、本当の原因の分析と対策を行う事に尽きます。
そしてそのために必要な作業が、この「分解作業」なのです。

今日は、本当に簡単になりますがこの分解作業の進め方を解説しますね。
具体例はどうしましょうか?
せっかくなので、先ほどの「アポを入れろ!」を例にとりましょうか(笑)

  1. アポを入れろと言われなくても、セールスパーソンはアポを入れたいと思っている。
  2. しかし入れたくても入れられない事情がある。
    それは保険の話を聞いてくれる見込客がいないことである。
  3. 見込客がいないということは、集客作業に失敗している事を意味する。
    検証してみると、このセールスパーソンの集客方法は「紹介入手」ということである。
    つまり紹介入手が上手く行っていないということ。

まず、たったこれだけの検証ですでに分かったことは、このセールスパーソンの本当の問題は「アポを入れないこと」ではなく、「紹介入手が上手く行っていない」ということです。
ですから、指導する側は、「紹介入手がなぜ上手く行っていないのか?」その検証と対策を全力でサポートしなければなりません。
逆にここを無視して「アポを入れろ」をうたいつづけると、その内セールスパーソンは本来の商談目的でない人も「商談」という風に虚偽の報告をするようになっていき、益々問題の本質から遠ざかって行ってしまうのです。

  1. 紹介入手が上手く行っていないとはどういうことか?具体的に作業を分解して検証する。
     A:そもそも「紹介をお願いします」と相手に切出せていない(失念や場の雰囲気など)
     B:紹介を依頼したが相手の保留や断りにより具体的な名前が聞き出せなかった
     C:名前は聞き出せたが、連絡をしてもらえなかった
     D:連絡・打診はしてもらったものの、見込客に紹介者が断られてしまった
     E:紹介者からは見込客の返事OKとのことだったが、いざ連絡するもつながらず
     F:       〃               連絡すると直接断られた

おおむね、紹介入手が上手く行かないパターンはこのような感じですがいかがですか?
上のA~Fのいずれかで上手く行かないと紹介入手は最終的にアポまでつながらないのです。
そしてA~Fは、全て原因と対策が違うことにお気付きになるかと思います。
実際にはもっと細かい分解と対策になりますが、今日は紙面の関係上そのおおまかな考え方だけをご紹介しています。

いかがでしょう?
ただ「アポを入れろ!」、から「どうしたら紹介入手がうまくいくか?」という風に変わるだけでもだいぶ前進ですが、それでもこれではまだまだ「大雑把」なのです。
解決にはなりません。
ためしに「どうしたら紹介入手が上手く行くのか?」と考えてみて下さい。
大雑把過ぎて答えが出ないでしょう?

ところが今回の例のように、A~Fのシーンに更に分解した途端に、今まで見えてこなかった本当の原因が姿を現すのです。
そして具体化した問題に対して、それぞれの対策を講じる事ができるようになり、初めて問題の解決に向かうのです!

 

<プロフィール>
  石川 聡 (いしかわ さとし) 合同会社HOS代表
  1968年千葉県千葉市生まれ
  千葉県立長生高校卒業
  信州大学経済学部卒業

就活は「ビールが大好きだから」というとてつもなく間抜けな動機で「麒麟麦酒株式会社」を選定。奇跡的に内定を受け無事入社。その後3場所にて10年間勤務の後、プルデンシャル生命保険より転職の誘いを受け32歳の時に転職。初年度こそ順調に推移したが2年目以降成績は下降曲線。4年目にはどん底の状態になり、半ばうつ状態。お酒の力が無いと怖くて寝られない日々が続いた。小さなことから積み上げようと奮起し毎週1件以上の契約を続けることにこだわる。幸い135週連続で達成し成績はV字回復する。その後営業所長に昇格。自身の売れなく辛かった経験をもとに、脱落者を出さない営業所経営を目指し最終的にメンバー13人、平均年収2000万超の営業所にまで成長させる。
その後自身の使命は「教育」であると確信し、50歳になるタイミングでプルデンシャル生命を卒業・独立し現在に至る。座右の銘は「人生60歳からが本番!」
現在2棟の福祉施設の経営の他、使命である教育事業を2021年よりスタートさせる。
HPにて生保営業・マネージャー向けのメール講座を開設中。
有料メルマガの他無料で読めるブログも執筆中。https://salesperson.jp
著書「トップ営業の手法に学ぶ新時代の吹奏楽指導法」(ヤマハ出版)

~ HOSメソッドとは? ~
 設立した社名にもなっているHOS(Harmony Of Smile)から名付けたメソッド名です。
 和訳すると「微笑みの調和(ハーモニー)」ということです。
 従来のセールスというと顧客を説得して買っていただく。もし反対がきたら反対を処理して…といった、いわばセールスが顧客と勝負するといったような型が一般的でした。
 しかしこれからの時代はこういったスタイルではモノは売れません。顧客に寄添い、顧客が「是非これ欲しいです」といったものに対して、サポートして購入のお手伝いをする。というスタンスに変化していくのです。
 そして購入後も寄り添い続ける事により、顧客の口コミで新しい人との微笑みのハーモニーがまた生まれる。このようなスタイルを生命保険のセールスで実現する新時代のメソッドなのです。現状の勝負スタイルに疑問を持っている方は一度学んでみると良いでしょう!新たな発見があるはずです。